シン・ゴジラ感想

シン・ゴジラ見たけど、ちょっと面白すぎてどうかしてた…初めて映画の感想ブログとか書くよ。このあと何度も見てしまうと多分この感覚を忘れてしまうと思うので未来の私の備忘のために。めっちゃネタバレしてるので映画見てない人は絶対に見ないですぐに映画を観に行ってください。

私は普段はこの手の映画に何の興味もないです。映画も有名なやつしか見ないし、シン・ゴジラの予告も一度も見てないし、日本製の過去のゴジラを観た事もない、ウルトラマンとか他の怪獣映画も一個も見たこと無いです。
知ってたのは、新作ゴジラ庵野さんが作っているらしいということ、石原さとみが出ているらしいということ(どんな役かは知らなかった)、あとなんかキャストが300人くらいいるらしいということ、それだけ。
あとは安野モヨコさんが好きで、「監督不行届」は大好き。エヴァはテレビシリーズ軽くみたことある程度、劇場版は破とQだけ見た。

なので、まあ、話題になってる感じだしどんなもんだか、見ておくか〜…くらいで観に行きました。その結果…今までどんな映画を見た時にも味わった事の無い経験をしました……。2回しか見てないので記憶違いなど多々あると思いますがお許し下さい。ちなみに今から書くのは、主に初回を見たときの感想…てかただの思ったことのメモです。何にも詳しくないので分析とか評論とかできません。

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冒頭、昔のっぽい東宝のロゴと青地に白の文字。横浜沖の映像と、Twitterなどでたまに目にしていた白字の明朝体フォントでの字幕で、地名と海上保安庁の巡視艇の名前が出てくる。よく知らないが古い特撮をリスペクトしてる感じなのかな…いい感じ…などと思いながら見る。「いぬわし」これって本物?!ミリオタさんとか往年のファンにはすでにこのあたりからニヤニヤなかんじなんだろな〜とか的外れかもしれないことを思いながら見る。アクアライン内部の様子、人々の焦っている姿、ネット配信中みたいな画面…この辺で結構既に入り込んでた。前田敦子いた!白字の明朝体フォントでの字幕の小気味良さが好きになってくる。

と、急に政治家さんたちの様子に切り替わる。何が起こるの?と言う気持ちでただ彼らの様子を見守る。キャストを知らないので、誰が主役かも知らないし、そもそも誰が誰かわからない。字幕でどうやら役名と役職名が出ているらしいのだが、情報量の多さに脳が勝手に字幕をシャットアウトしていて、セリフとして名前を呼ばれた人しか名前がわからない。だから矢口さんの下の名前が最後までわからなかった…。みたあとでネットを見て「らんどうってモヨコさんのキャラの名前で云々〜」とかいうツイート見かけても「は?らんどうて誰?」みたいな始末。

話を戻すと、とにかくキャストがわからない。だから誰が重要人物なのかもさっぱりわからない。なまじ、キャストがたくさんいるらしいというのだけ知ってるがために、大物俳優が出てきても重要かどうかわからない。そのおかげで、「誰が主役」だとかのメタな視点が完全に無くなり、政治家がたくさんいてなんだかんだ喋ってるなあ、どうするんだろう…みたいな、役者さんじゃなくて、官邸を見守るモードに入り込んでしまった。

とはいえ水蒸気の原因を議論するくだりなんかは、さすがに見ているこっちはゴジラだとわかっているわけなので、間違った推理を強引に進めようとするおじさんたちの中に、たまにイケてる主張のつよい若い人がいるな、みたいな気持ちが芽生えてくる。この人できる人なのかな、と思ったらもう一人の切れ者っぽい人(竹野内豊)にたしなめられている、うむ、出る杭は打たれる感じ、これが日本の内閣かあ〜
等と思っていると会議、会議また会議…これが会議映画とか聞いてたやつか〜〜^^も〜ゴジラなのに〜〜早く対策してよ!!等と、この辺は客席から笑いが漏れたりとテンポのよい、しかし全く核心に近づかないおじさんたちをニヤニヤ見守る。そして衝撃の尻尾。ここでようやく、「矢口がやけにフィーチャーされてるな、コイツが重要人物か」となる(竹野内もいるため、主役かどうかはわからない、あと、主役が誰なのか気にする機会が一切無い。)こんなふうに、特定の誰かに感情移入することなく、「右往左往する官邸の様子を見守る」それだけで話に入り込んでしまうっていう話のつくりかたがあるんだ…ってことに後から驚愕する。見ている最中は話に夢中になっているのでそんな分析すらできてないわけなんだけど…

尻尾からの急展開…かと思いきやまだ煮え切らないおじさんたち…そしてその集大成の「有識者会議」でもうひと笑いしてから(有識者の一人がやたら宮崎駿に似てるのはわざと?w)尾頭さん登場して一気に話が進み始める。尾頭さんカッケー。好き。

で、この日まず一回目の衝撃の、上陸シーン。さすがにゴジラ映画を一回も見たこと無い私でも、ゴジラが大体どんな格好か知ってるつもりだった。でも、予告を一回も見てなかったので「今回のゴジラがどういう造形か」知らない。ここで私は「えっ!!今回のゴジラってこういうものなの!?これが…ゴジラ!?!!まったく新しいゴジラってこういうことなの!?!!キモイ!!目が怖い!!なんで血が出てるの!?!こわい!!!」
絶望的な映像の中、気分はすっかり、ニュース番組をどうしようもない気持ちで見つめる映画内の一般人の気持ち。「とんでもないことが起こってる…どうするの…」もはやこれがフィクションだとか今映画を見ているんだとかそういう感覚が一切なくなっていて「初めて出会った未確認生物」に恐怖を感じるいち日本人の心境。

どんどん進んでいくゴジラ。蒲田が…品川が…ようやく少しだけ政府の事を思い出す。「こんな生き物とここから戦わなきゃいけないのか…キモイ、ツラい」また大量の会議を経て、ようやく自衛隊出動が決まって…。このへんで、総理を支える人たち、ただの決められないおじさんたちじゃなくてかなりできるおじさんたちだと気づかされる。上司に「どうする?」じゃなくて「自分はこれがいいと思う、どう?」って聞ける部下は出来る部下です。防衛大臣かっけえ。ここに女性持って来るの、小池百合子さんリスペクトなのかな〜とか思いながら見てたら…なんとゴジラ立ち上がる!!!「あ!!!やっぱり一応立つんだ!!よかった!」こころなしか記憶の中のゴジラに近づいてきた。でもまだだいぶ違う。でも、立っちゃった事でゴジラっぽくなってしまい、私の「今回のゴジラはこれなのか」という勘違いが確信に近づいていく。「やっぱりこれなんだ〜…やだなあ、キモイ…」(違う)口がぶちぶち裂けて赤い肉が見えてるところとか最高にキモい。これCG?特撮?よくわからない。ちょっと前に何かの映画の予告でみた「巨神兵東京に来る」で見た巨神兵に似てるよ…特撮かなあ…(違う)

自衛隊いよいよ出動。音楽がなんだか古い。勇ましい。こういう音楽は嫌いじゃない。ただ、すぐにとんでもなく緊張してくる。「形状が報告と違う!!」ここのヘリ視点でゴジラと対峙しているところの映像、ぎゃ〜〜〜!!となった。無理。受け止めきれない。こんな生き物と対峙しなきゃいけない自衛隊すごすぎる。(フィクションです)でも、基地で「志願じゃなくてローテで」ってとこ、仕事っぽくて超かっこいい!自衛隊員ほんと尊敬。
話を戻してヘリとゴジラの対峙シーン。とにかくめちゃくちゃ怖い。ゴジラの事は全く知らないが「ゴジラが光線を吐く」ことは一般知識として知ってたので、「やめて…光線吐くんじゃないの!?早く…早く撃つなら撃って…」みたいな気持ちになる。最高に緊張していたところで射線上に一般市民が…!!攻撃中止を決断した総理は偉い。でも私はもう「撃っちゃった方がいい」とか思ってた。おじいちゃんゴメン。でも多分ここはそういう演出。

で、一旦ゴジラ撤退。皆一息つく。京急だけ復旧無理で、いつもなら一人頑張ってるのに今回は逆なことに少しニヤニヤ。災害一過でもふつうに出勤…東証も動いてるって…あ〜日本人。たしかここらへんで巨災対が設置される…?(記憶があやふや)私の個人的な趣向として「ものすごく何かに特化してる代わりに社会性に少し欠陥がある人=オタク」が大好きなので、巨災対の全員が瞬間的に大好きになる。あとこのエヴァの音楽最高でしょ?単にエヴァの音楽ってだけじゃなくて踊る大捜査線の監督が気に入って使ってたことで、巨災対の実在感が増すっていうこの構造が神がかってる。

役名はわからないが目のくりっとしたわいわいしている変人さんが可愛い。(※安田のこと)尾頭さんはずっとカッコいい。仕切ってる髪型の変な、目の大きな眼鏡の人(※森さん)がなんか好き。で、なんか放射能が出てることとか突き止めたり何やかんやして…血液凝固いけるかもとかなんだかんだ…確かこの辺で石原さとみが出てくる?(曖昧)石原さとみの演技が気になるとかいう意見があるようなのですが、はっきり言って「5時から9時まで」っていう月9に英会話教師役で出てたときよりめちゃくちゃ英語の発音上手くなってた(単に早口だっただけかも)から!!!!だからすごくびっくりしたし、めっちゃ練習したんだなって思った。確かにこの発音はネイティブの発音じゃないよ。だからアメリカ在住の日系3世って設定には確かに違和感があるかもしれない。でも石原さとみが死ぬほど頑張って役作りしてるんだってことはわかったからそれで十分かなと思うし、すでに話が面白すぎてそんな事は何一つ気にならなかった。あと石原さとみは可愛い。あと「ZARAどこ?」のセリフは絶対庵野さんには考えられない。モヨコさんか他の誰かに聞いたんだろうなとか思ってニヤニヤ。

それからカヨコの協力もあって(マフィア梶田さんこんな目立つとこに!)ゴジラの解析が進み始める。手をぽんと叩く間教授可愛い(乱筆なメモが殆ど意味をなしてない感じも可愛い)凍結プランが進み始める。根岸さん、原子力規制庁にいたときもそうだったけど、こんなときでもオタクは、新事実を発見すると笑っちゃうのだ。わかる。
ゴジラデモをBGMに寝てる巨災対のメンバーにぐっときた。口だけで役に立つことしない人と、黙って働く人の対比…これも超日本っぽい。深夜にゴミまとめてる人、良かった。泊まり込み何日目かの矢口さんが「日本はまだいける」みたいなこと言ったところで流石の私も「あ、これはきっと絶望フラグ」みたいなことに気づきつつ片桐はいりさんの入れてくれたお茶が優しい。志村の「寝ないで頑張ってるの偉い、マジ感動」みたいな言葉は若干ブラック礼賛な香りもしたけどまあゴジラが来てるし今だけは許そう。そして…そして…

鎌倉上陸…!!!「あ!!!!やっぱりあのゴジラだ!!!」本当ならあのキモすぎるさっきまでのゴジラから、見慣れたゴジラに変わった事を安堵するはずのところが、もう第一次襲撃で心をすっかりやられている日本国民と政府の気持ちなので、「マジで…マジで…2倍…無理…もうこないで…」みたいな気持ちに。脳のすみっこでちょっとだけ「いや〜やっぱ総監督ともなると自宅付近に上陸までやっちゃえるのか〜」(庵野さんの住まいが鎌倉と言う事は、監督不行届を読んで知っている)とかもちょっとだけ考えている。この辺から徐々に「庵野さんこれとにかくやりたい事詰め込んでるんだろうな」みたいな感じを感じとり始める。何か謎の…「楽しそうに映画を作っている庵野さんを見守る」みたいな視点が追加され始める。

で……多摩川防衛!!!!!生きてきて始めてミリオタの気持ちがわかりました。自衛隊かっけー!!!!!めちゃくちゃかっこいいいいい!!!こんな頼もしいの自衛隊。信じられないくらいかっこいい。花森さんと幕僚長のとりこ。あとなんか陸、空、海の3ボスみたいな人たちすごいかっこいい!!この辺も、怪獣映画の「一度目の攻撃はほぼ効かない」とか全く知らないから、超、超緊迫した気持ちで見る。どうなるの!!?
てかここのところの多摩川手前の、カメラが東から撮ってて、ビル群の中にゴジラが左にたたずんでて、画面右に自衛隊のヘリが展開してる引きの絵が……かっこよすぎる!!!!!!!!なんっだこりゃ。これか!怪獣映画が好きな人が好きなのはこれなのか!!!たしかにこれは…見たいよこの絵面!!大興奮!!!

そして途切れる事無く自衛隊の装備を紹介し続ける例の白い明朝体の字幕。ああ…これを書く為のフォントなんだね(違う)これらの装備が何なのかちっともわからない、けどとにかくこれを考えている庵野さんが絶対めちゃくちゃ楽しんでいるってことだけは…わかる……すごくわかる…
そして始まった攻撃。初めの弾、豆粒みたいで全然効かない。頭だけ狙ってる感じとか超かっこいいけど全然効かないし次の弾も効かない。ここで総理が装備無制限許可。この辺で総理も犠牲を覚悟で東京を守る決断をし始める。「総理!」って詰め寄られたときのセリフが「今ここで決めるのか?!」とかから「わかった」にかわって「わかってる」にかわるかんじ、すごく伝わってくる。
そしてミサイル。でも効かない…ゴジラ強すぎる。無理。コワイ。怪獣映画のお約束を知らない為に、見ていて本気で絶望し始める。この話どうなっちゃうの?全然倒せそうにないじゃん。
戦車めっちゃ頑張ってた…多摩川を戦車がいっぱい…でも全然効かなくて……斬弾切れて、多摩川超えられて、防衛失敗。「気落ちは不要!攻撃だけが華じゃない」って言ったピエール瀧さん超絶かっこいい。いつも自衛隊はそっちを頑張ってくれてるよなあ、と現実世界をちょっと思い出した。とにかくゴジラでかすぎるし怖いし強いし、絶望。人間は全く歯が立たないし、そもそも存在をほとんど気にされてない…。なんかもう自然災害のレベル。

それから東京に入ってくるゴジラ。ああ…もうダメだ。米軍の攻撃が始まる。ほとんどすべて話に入り込んでいて現実世界に戻って来れていない私の脳のはじっこに、唯一、ゴジラがまだ光線を吐いてない、ってメタな意識が残っていた。だからもう多分何が来てもダメだ。勝てない。
内閣も巨災対も避難しなきゃいけない。官房長官と矢口の再開を誓うシーン、どっちかが死ぬのかな、って思ってたけど確率の高いのは車で行く矢口だとふつうに思ってた(まだ長谷川博己柄本明より名前が先に来るキャストだって知らなかったから)それから…例の………あの絶望のシーン………あの音楽…………サントラ買ったけど、サントラ聞くとテンションあがるけど、あそこの音楽だけはかっこいいけどなんか聞きたくないよ。
それくらいの絶望。フィクションの中であんなに、フィクションだということを忘れて、それなのに妙に冷静に絶望を味わった瞬間はない。初めあの赤い炎が、ゴジラの今回の攻撃なのかなって思った。それなら地下や、空にに逃げれば、まだ、と思った。でも…段々高温になって、綺麗な紫は絶望の色で………。
ゴジラの顎は割れて、それも私の知っているゴジラとは違ってた。コレは感情のないただの災厄なんだなあ、とそこで強く実感した。特定の登場人物に感情移入してたわけじゃないのに、あんなに絶望を感じるなんて、強いて言えばやっぱりあの世界のいち日本人に感情移入していた。東京が…銀座が…霞ヶ関が…絶望のさらに先で、紫の光はアクションゲームの、画面横いっぱいに当たり判定があって避けられないバーみたいに地平線の向こうからやってきて、理解が追いつくか追いつかないかの一瞬でヘリを焼いて……。矢口がどうしても気になって光を見てしまう気持ちが何となくわかった。それから避難して……それから…

一夜明けて、気分はすっかり、被災国の国民の気持ちだった。矢口が生きている。泉と合流する。焦って泉にたしなめられる矢口。減っちゃった巨災対のメンバーの前で演説する矢口。この辺でようやく「なんかこれ矢口ってすごく重要人物なんだな」って思う(主役という概念はやっぱりない。あとから考えたら主演はゴジラなのか。だからか。納得。)安田さん涙目だったのは、知り合いが死んだんだろうか。

それから、ゴジラの分析を進めながら、凍結プランを引き続き進めていく。やっぱ森さんいいなあ。ゴジラのオート射撃すごい。しかしオートといいつつ背中はちゃんと動かすゴジラ。ロボットみたいな自動制御というよりは、猫が動くものを本能的に捕まえる感じかな。
巨災対にチームアメリカが加わるも、結局核を使うって判断を加速させてしまう。カヨコはキツかっただろうなあ。多分アメリカ人にとっての9.11くらい、日本人にとって8.6、8.9、3.11は辛い思い出。だから東京に核を、ってのはどんなに合理的な判断だろうとも、心を抉るものなのだ。それが、総理や官房長官代理、安田の呻きから伝わってくる。

残された時間で凍結プランを諦めない巨災対。フランスにネゴして時間を引き延ばす。泉ちゃんかっこいい。民間と全面協力しての凝固材の確保。町田さんはお辞儀をしながら頼むのに、安田は、やって当然、みたいな態度で頼む。この辺が人柄ってか、普段の仕事のレイヤー感が出てて面白い(製造系の人は現場の人の気持ちを重視しがち、研究系の人は理想のゴールを重視しがち、みたいな)例の牧元教授からのヒントの解析も終了、騒ぐ安田…。

そしてついに完成して…。自衛隊トップと最後の確認。(2回目見たときようやくきづいたけど、このとき在来線仮設の架線の敷設終わってるって言ってたんだ。仕事早すぎるでしょ。)幕僚長の「礼は要りません、仕事ですから」が文句なくかっこいい。また本気でそう思ってそうな演技が素晴らしい。泉ちゃんと里見さんの会話、赤坂の「好きにしたらいかがですか?」からの「どこに判子押せばいいの?」やっぱね、みんな本音では、やっぱり自国に核を落とすなんて絶対やだったんだよね。ってのが伝わってきた。

そして矢口は前線へ。「生理的な判断が必要な場面が必ず出てくる」ってセリフかっこいい。リーダーをやったことのある人のセリフだなあと。論理でなく感覚で決めなければいけない時は必ずあるんだよね…。泉ちゃん、止めても聞かないから、せめて生還を祈る。志村には何も言わない矢口。志村をちらっと最後に見て頷く矢口。信頼だなー。

それから死地に赴く人たちへの演説。民間も交えて、この人たちはどれほどの使命感なんだ。

ヤシオリ作戦がついにはじまった。音楽最高。無人航空機、たまにそーゆーのが爆撃してるとかニュースで聞くと、一方的な虐殺じゃん、となんだか悪い印象も持ってしまってたけど、このときほどこの技術に感謝したことないよね(フィクションです)どんどん撃ち落される航空機。技術館の屋上に光線が届かないかヒヤヒヤするけど、地球の丸み的に大丈夫な距離なのか?!
ゴジラはそのうちエネルギーがきれて光線を吐けなくなる。自重を支える支えないの話とか、エネルギー源が核分裂とか、血液が冷却材になってるとか、フィクションでも少しだけ科学を重視してる感じ、見てて気持ちいい。

そして…そして…N700系の無人新幹線爆弾!!これはやっぱ他の新幹線じゃなくN700系てのがいい。だっていつも乗ってるもん!!一番お世話になってるいつものあの子達が頑張ってる感じ、最高。
そして脳裏に浮かぶ、監督不行届で読んだ、子どものようにプラレールで遊ぶカントクくんの姿…これ絶対庵野さんが「かっこいいこと思いついた!!」ってやって入れたか、ずっとやりたいと思って入れたかどっちかだよね…

そしてビル破壊、破壊また破壊。ああ…グランノースタワーが…サウスタワーが…ゴジラを抑え込んで行く…よく海外とかでビルを思う方向、形に破壊できる技術とかやっててすげーなーとか思って見てたけど、まさか東京のど真ん中で、しかもゴジラを抑えるためにこの技術が使われるとは。日本の技術すげえ!!(フィクションです)

そしていい感じに倒れたゴジラ。素早く現場に集合する重機たち。ここ何回見ても胸が熱くなる…。特に「同・タンクローリー群」このワードがあかん。何故か泣ける。そしてにょきにょき伸びてゴジラの口に注入。画面的には殆ど動きがなく、注入された凝固材の量を読み上げるシーンなのにこんなに手に汗握ったことはない。早く、早く注入進んでくれ…。でも、やっぱそんな簡単にいかない。無情にも起き上がり、光線を吐くゴジラ。第一陣が無惨に焼ける…。一瞬目を伏せて、すぐに向き直る矢口の表情…このタイミング、なに??演技に絵コンテがあるんだろうか。めちゃくちゃメリハリのある凄い演技。
そしてそして…無人在来線爆弾!!!!
鉄オタじゃなくてもあまりの衝撃に胸が熱くなった。見覚えのある車体、京浜東北が、山の手線が、次々にゴジラに…!!この東京でしかあり得ない在来線の線路の数よ。さっきのビル破壊から続いて、なんでゴジラが東京に来るのか、その理由がわかりすぎるほどわかった。かっこいいからだ!!!!!!庵野さんが鉄オタなことがまた脳裏をよぎってニヤニヤした。ゴジラにまとわりつきながら爆発四散していく在来線を見て、巨神兵に焼かれても進む王蟲のことも思い出した。

そして東京駅を枕に倒れこむゴジラ。初めてちょっとゴジラ可愛いと思った。すかさず第二陣。ここの第二陣の人達が、この作品内で最も勇気があった人達では?死ぬよりもこの機会を逃すことの方が怖いからと、とにかく急いで、注入を開始する。注入の進み具合を読み上げる安田。あれっ、安田いる…。75パー、90パー、100!!!一瞬起き上がったけど、血液は凝固され、ゴジラは凍結された。静かに安堵する巨災対、臨時政府の面々。心からの安堵が伝わってきた。

里見さんが思ったより信念を持った人だったこと(この作品、信念を持って働いてる人たちしかいなかった)カヨコと矢口のやりとり、そしてゴジラの尻尾…そして映画は終わった。

映画を見終わって街に出てからも、見るもの全てがセットに見えて、どこからゴジラがフレームインしてくるのか探してしまった。人が全てエキストラに見える。ゴジラに本当に入り込んでた。それもあの世界が、日本を模そうと努力してたからなんだなーと。

尻尾の意味はわかんなかったし解析のあたりも全然わかんなかったし、牧元教授の思いとかもわかんないし、巨災対の面々に萌える暇とかも全くなく、ただただ起こってることを受け止めるのに必死だった。これまで私が映画を見て、感情移入してるとか入り込んでると思ってた状態は、全然感情移入なんかじゃなかった。これが映画に入り込むってことなのか!!30年以上生きてきて初めての経験でした。これはもう2回目には味わえない。それが残念でならないし、まだゴジラを観てない人が羨ましい。記憶を消して何度でもまた観たい。それくらい衝撃を受けた作品でした。

見てない人はコレを読まないと思うけど、もし居たらすぐに観に行ってください…!!